今かなり話題になっているニューヨークのハーレムで1969年に行われたハーレム•カルチュラル・フェスティバルのドキュメンタリーフィルムである。
一言では言い表せない、出演者の豪華さと、今では奇跡とも言える組み合わせにまず驚く。
正直、ここまでの豪華なアーティストが何故集結できたかを考えてみたい。
ゴスペルのレジェンド、マヘリア•ジャクソン、ブルースの大御所B.B.King, R&Bの風雲児スティービー・ワンダー、社会派ソウルのクイーン、ニーナ・シモン、多国籍のヒッピーソウルのスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン、と並べただけでも、本当に本物が集結したの?
え?嘘でしょ?というくらいのラインナップだ。この時代だからこそあり得たのだと思うし、1969年という、ウッドストックが行われた年に、ニューヨークのハーレムで、何故これだけのスターが集結したのか。
ここからは、私の推測に過ぎないが、時代は1969年。と言えば公民権運動の後のキング牧師と、ニューヨークなら尚更、マルコムXの暗殺の数年後に当たる。
政治的なカリスマリーダーが現れ、アフリカンアメリカンにとっては、希望にあふれた矢先の2人の暗殺であった。
急速に士気は失われ、求心力も無くなり、心の拠り所のないまま、彼らの心にぽっかり穴が空いた数年間であったに違いない。
現実を取り巻く問題は、次々と悪化していくし、解決の糸口が見えない。
暗いトンネルの中。
そんな時期だったのでは無いだろうか?
もう一度、立ちあがろう!そして、団結しよう。
キングもマルコムXも居ないけれど、もっとより良くなる為に、音楽で一つになろう!
そういう様な意図が働いて実家回したのでは、と。
だからこそ、錚々たるレジェンド達もオファーを引き受け、あのステージに立ち、音楽だけでなく、強いメッセージを発信したのでは。と。
ところが、このフィルムは50年間も封印され公開されなかった。
何故だ?
やはり、権力が黒人達の結束や暴動を恐れたと言えるだろう。
しかも、それを50年も?
未だそれを恐れてるのか?
しかし、パンドラの箱は開けられた。
コロナ禍という状況も、後押ししたのかもしれない。
BLM運動からの流れもあるかもしれない。
どちらにせよ、このフィルムによって、本来のブラックパワー、ブラックミュージックの凄さ、彼らの歴史に触れることが出来た。
これをきっかけに、またブラックパワーの再確認が出来ると良いな。
あまりに偉大な、ブラックミュージックの歴史。
そして個人的には、この監督がゴスペルを重んじて編集してくれたこと。
4時間近くあるフィルムの中から、ゴスペルに時間を割いてること。
これには深い深い意味があり、決してアフリカンアメリカンの音楽や思想、生き方、スピリット全てにおいて、ベースとなるものであると、監督が認識してる。からこそ、ただの音楽ファイルに終わっていない。
マヘリアの圧倒的な存在感と声は、クリスチャンでなくとも心に残るはずだ。
何かが凄い。とにかく凄い。
と感じるはずだ。
その[何か]が、魂を揺さぶる。
それは、何だろうか?
愛だろうか?
神だろうか。
その両方だろうか。
それは、観た人の心が感じれば良いし、私たちは人種に関わらず、今、その[何か]を探している。
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