綿花農場が広がる南部では、ギターをつまびきながらソロでブルースを歌う黒人も増えて、一つの音楽ジャンルとして確立して行った。
所変わって南端のルイジアナ州ニューオリンズは川沿いの音楽の街。
あの街がどうしてあんなに音楽が豊かなのか?
まずデルタ地帯と違うのは、フランスが勝ちとった所にもある。
根っからの酒好き、音楽好き、しかもアフリカンとの歴史があるせいかわからないが、奴隷同然に連れてこられてきたアフリカ人とどんどんカップルになる。アフリカ人が好きと言えばそうなんだろうが、
イギリス人の激しい差別やランチに比べると、差別があるとは言え、緩やかだったのかもしれない。
南北戦争の時もルイジアナは黒人だけの部隊を結成するくらい自立したコミュニティを築いていたと思われる。同時に騎兵隊の残して行った、金管楽器やドラマを次々と手に持ち、戦死した仲間たちへの弔いの音楽を創り上げた。
それがジャズのルーツである。
いくつも運ばれる棺を囲み、ブラスバンドが音楽を演奏しながらお墓まで送り出す。
その列をセカンドラインと呼び、いつのまにか、そのマーチングの音楽をセカンドラインジャズと呼ぶようになる。
または、トラディショナルジャズとも。
歌詞は全てゴスペルだ。
一番有名なルイアームストロングの聖者の行進も次のように天国への賛美を歌う。
おお、その聖者の行列に入る時、
神よ私もその列の数に入れてください!
O when the saints
Go marching in
O when the saints go marching in
Lord I want to be in that number
when the saints go marching in
皆さんもよくご存知のメロディ。
アームストロングの笑顔、白い歯、しゃがれた声、
粋なトランペットの音色。
全てがジャズのエッセンスを醸し出して、これ以上の名曲は無いくらいに、繰り返し演奏される。
ニューオリンズのセカンドラインには他にも名曲が沢山あるが、どれも天国に通じる神の国への橋になるような楽曲ばかりだ。
現地に行くとストリートでも、バーでもどこでも聞こえてくるのが、I’ll fly away.
この曲は本当に現地の地元の人たちが愛してやまない。勿論、ジャズの名曲もたくさんあるだろうけど、やはり、戦争の後に作られた名曲たちはゴスペルだってことはあまり知られていない。
明るいメロディなのに、どこか切なくて、ブルーで、それでいて希望の光を感じる。
天国に行けば神様が待っていてくれる。
そして、自由だ!魂が解放されるんだ!
という喜びに満ちた音楽なのである。
ルイアームストロング 聖者の行進
I’ll fly away
to be continue