1700年後半から1800年後半までがまさにゴスペルのルーツ時代と言えます。
そもそもゴスペルという言葉は、南北戦争後に秘密の教会や、路上でその際立つ才能を認められて、レコードに収められて来たミュージシャンや教会の人々、その人たちを音源に収めたプロデューサー達が呼び始めたGood news つまり、God spel 福音と呼ばれる神様からのメッセージとして、付けられた名称です。黒人たちの独自の賛美歌を意味します。
しかし、その賛美歌はもちろん南北戦争前から存在していた黒人霊歌、ブラックスピリチュアルがベースにあることは間違い無いのです。
音楽的に見ても、コードが一つだったり二つだったりメロディも8小節の繰り返しだったり、英語の歌詞も非常にシンプルで前回ご紹介したエーメンの様に単語だけのものもあります。
レコードが発明される前の奴隷時代の伝承の賛美歌をブラックスピリチュアルと呼び、今でも教会では頻繁に賛美されているところも多く見受けられます。作者不詳の名曲たちは、各教会や家庭で自由にアレンジされ、時にはアカペラで、時にはオルガン伴奏、時にはバンド演奏で、歌詞もその教会ごとに変えられたり、即興で歌われた歌詞が採用されていったり、その当時は白人の音楽家や教会関係者達も身分の低い奴隷たちの音楽をスコアに残そうという発想もないまま、戦争が始まるのです。
記述がないわけなので、現在伝承で歌われたものを前後のゴスペルシンガーたちが録音したものを頼りにするしか、私たちには知る由もありません。
その中で私が印象深いものをここでご紹介したいと思います。
曲は無数にあるため個人の好みにもよりますが、マイナーコードのものあれば、どちらかというと明るいメロディが多いのです。そして、この時からすでにブルースコードと言われる苦味のあるコード進行も使われて行くのです。
この録音は神様のいい知らせがあるよ!と、メッセージを入れながら賛美しているワーシップ形式の典型。
Ain’t God good news by Sweet honey in the Rock
http://www.youtube.com/watch?v=e9MOA_wvaLg&list=PLJ3X0XM_SmvPutsT59kVxNHE1Y9B8kcR-
Of Freedom by The golden singers
http://www.youtube.com/watch?v=veiJLhXdwn8&list=PLUCSU0WaWqtAb4XM1T5d5YZat0Mt3KMPI
初めはニグロスピリチュアルと呼ばれていましたが、ニグロ、ニガーという言葉が差別用語として定着し、今はブラックスピリチュアルや、アフロアメリカンスピリチュアルなどと呼ばれるようになりました。
大概がア・カペラと手拍子で賛美され、奴隷たちの移動とともに南部や北部へ伝えられて行きました。
少し悲しげなメロディは、ブルースの元にもなり、南北戦争後にスピリチュアルと共にブルースもミシシッピ川沿いに広まって行きます。
ブルースは、スピリチュアルやゴスペルとジャンルを分けられることが多いのですが、源流は一つであり音楽的にもほぼ同じような構成になっています。
古いゴスペルが好きな人にとっては、ブルースゴスペルなどと呼ぶ場合もあります。
歌詞がブルースは世俗の悩みや恋の歌が多いのですが、スピリチュアルは、神との交信や一体感をストレートに歌う。どちらも霊歌としての本質を持っています。
To be continue