先日、滑り込みセーフでアレサ・フランクリンのドキュメンタリーを観てきました。
ゴスペル関係者は皆感動した!とコメントしていたので、こりゃ観なあかん!
てことで、千葉は柏でしか上映されていなくてしかもコロナで時短。
それでも、まずはキネマ旬報シアターに感謝。
わりとコアな映画だし、ドキュメンタリーだし、それほど興行的でもないこのドキュメンタリーを配給するのは勇気がいると思うのです。
ということで、話は映画に戻りますが、時は1970年代、アメリカのアフロアメリカンにとっては、公民権運動の後の心の傷も癒えない中、差別と不正義と社会的な貧困に悩まされていた時期でもあります。
今だからBLM運動が世界的な運動になりつつあるけれど、当時はまだまだ名もない人々が理不尽な抑圧の中で生き、また、逆に音楽やダンスやエンターテイメントで一世を風靡していた時代です。
アレサもそのずば抜けた才能により、ソウルの女王とも呼ばれ、引っ張りだこでした。
それでも映画の冒頭で、「アレサは教会から離れたりしていない、彼女はゴスペルと共にある」というジェームズ・クリーブラント牧師の言葉に思わず熱くなる。
ロサンジェルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプテスト教会でアレサのバンドとサウスカリフォルニア・コミュニティ聖歌隊との2日間の収録とレコーディングの様子を収めている。
とにかくこれほど濃いレコーディングしたシンガーがかつて居ただろうか?
1曲1曲の詳細はあえて省かせてもらうが、全編を通して、当時の黒人らしいオールドスクールと呼ばれる、いい意味で泥臭く、深く、ブルースの匂いがプンプンし、非常にスピリチュアルな演奏であり、霊的なエネルギーに満ちている。
映画として撮影したものの、技術的なミスで叶わなかったフィルムが時を超えて今、映像になった。
人々の熱狂は、アレサの歌唱力だけではなく、彼女の信仰の深さ、聖霊との交わりの中で生まれる魂を揺さぶられるようなバイブレーションにある。
それがまさにゴスペルの醍醐味であり、本質なのだ。
そして特筆したいことは、このゴスペルのフィーリングはアメリカにしかないということ。ジャマイカにもアフリカにもヨーロッパにも存在しない、唯一無二のブルースゴスペルという世界。
これがどれだけ大事なことかを、この映画は教えてくれる。
ブルースが大事なんだ。
そしてイエスと共にある事。
それが彼らを生かし、また私も生かされている。
私の敬愛する黒人の解放の神学の父、James H.Cornがいつもその著書で語っていたことは、人間の本質とは「聖と俗の霊的な交わり」であるということ。
アメリカでなぜそのような深い讃美歌が生まれたかというと、やはり奴隷制度の中で極限の地獄を体験し、その中でイエスキリストと出会い、生きるという選択をした。
それがまるでダイアの原石のように今も輝きを失わないのは、神と直接対話し、聖霊と交わりながら、毎夜森の奥で奴隷たちだけの讃美歌を歌い続けたからに他ならない。
アフリカ系のアメリカ人の人たちが神と共同で創り上げた奇跡の讃美歌、ゴスペル。
最後のアレサの賛美が秀悦である。
「永遠の命」英語のタイトルは「We never glow old」年を取らないという意味、つまり、天国に行けば、永遠の命を与えられ、離散した家族やイエスにも会えるよ、という究極の賛美。死を恐れずに乗り越えられるこの力強さは、奴隷制度を経験せずには生まれなかったであろう。
アレサが最後の曲のアドリブに追加した言葉、「私はクリスチャンであることが本当に嬉しい、私の魂はとても満足している」抑制された英語を使うことで、更に、その信仰心の熱い思いが伝わってくる。
私も思い切り叫びたかった!「I'm so glad to be christian!! my soul is satisfied!!」
アーメンアーメン、ハレルヤ!
アレサの魂は永遠に生き続け、そのスピリチュアルな声は私たちの魂を揺さぶるだろう。
喜びの涙が流れた。
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