世間は本当にコロナパンデミックに陥り、先の見えないトンネルの中に入ったようです。
経済も止まり、全てのシステムが崩壊するような、なんとも言えない曇り空の様相ですよね。
ここ数年のゴスペル界も、以前のようなパワーで押すアップビートのゴスペルよりも、メロディで歌い上げる美しい、そしてとても感傷的なゴスペルが多くなった気がします。
それは、黒人たちがもはや奴隷制度という地獄から抜け出し、ある程度の市民権を獲得し、なお、差別の泥沼をゆっくりと泳いでいる様なイメーザが湧いてきます。
アフリカ的なビート中心の世界から、むしろ離れ、西洋の美しさを体現するような美メロと切ないコード進行。新しいゴスペル、というよりもワーシップソングの誕生なのかもしれません。
音楽は世相を映し出す鏡です。
世界が混沌とし、先が見えなくなり、以前のようにサバイバルを分かりやすくする時代でも無くなり、何処か刹那的な世界を、ゴスペルはひたすら癒しているかのように感じます。
特に若い世代は、ビートで跳ね回るエネルギーよりも、気持ちをメロディに乗せて感情移入する方が今は楽なのかもしれません。
逆にアフリカ諸国では経済発展の兆しもあってか、勢いのあるアフリカンゴスペルが止まりません。これは、アメリカとは正反対の道を進んでいます。アメリカは資本主義に疲れ切って、ゆっくりとしたビートで身を委ねるような美しいメロディを求めています。
逆にアフリカでは、かつてのアメリカなようなブラックメガチャーチが台頭してきて、アフリカンビートに乗せて前へ前へ進むゴスペルなのです。
どちらも魅力的ですが、やはり、エネルギッシュな賛美歌がゴスペルだと定義した時、今はアフリカのゴスペルの方がより、ゴスペルらしく感じられます。
アメリカのゴスペルは、一種世界の終末の行き場のない感情を表しているような気がしてなりません。
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